心理学 Q & A

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Q24.占いが当たっているように感じるのはなぜ?

しばしばテレビや雑誌などでは,その日や週の運勢占いを目にします。あまり信じていないつもりなのですが,ふと思い返してみると「当たっていた」ということがあるためか,ついつい注目して見てしまいます。このように占いがなぜ当たるかについて,特別な理由はあるのでしょうか。また占い師は何か特殊な能力をもっているのでしょうか。

A.村上幸史

まず「当たっているように思えること」と「本当に当たっていること」は分けて考えてみましょう。起こるのが非常にまれであるように思えることであっても,実際には頻繁に起こり得る場合があります。

松井(2007)は,運のよしあしを○△×の3段階で日記に記録してもらい,別の者がその期間の雑誌の占いを同様の形で判断したところ,その一致率はほぼ3分の1ずつ,つまりランダムな割合とほぼ同等であったことを示しています。村上(2005)でも実際の雑誌の占いを用いて,その期間前に的中しそうと思う箇所と期間後実際に的中した箇所にそれぞれ線を引いて示してもらったところ,4分の1程度は一致していました。

このような結果は占い内容の何割かが「本当に当たっていること」ですが,偶然の割合を大きく超えてはいないことを示していると考えられます(おそらく占いの的中割合を記録している方はほとんどいないでしょう)。大リーグのイチロー選手などをみると,毎打席ヒットを打っているような感覚に陥りますが,実際は打てなかった場合のほうが多いのです。私たちはこの「偶然の一致」を思う以上に重要視する傾向があります。

もう1つは「当たっているように思えること」です。占いが提示する内容の多くは「暴飲暴食に注意」など誰に対しても該当することや,「気持ちの落ち込みやすいとき」など,どうなれば結果が的中といえるのかが不明確という特徴をもっています。多くの人に的中したと思わせる文章内容がもつ効果は,誰もが楽しめるサーカスの興行を考えたとされる人の名前を取り,バーナム効果と呼ばれています。占う側としては不特定の誰かに当たればよい反面,占われる側は自分自身が的中感を得ることが重要なのです(理由は考えてみてください)。

バーナム効果を引き起こす原因の1つは占いを信じることにあります。先に挙げた村上の研究では,もともと占いに好意的な者ほど的中したと判断しやすいという結果も得られています。この理由としては記憶を歪めて判断しているというよりも,むしろ占いに合致した情報を想起しやすいこと(確証バイアスと呼びます)が挙げられます。そもそも私たちはオリンピックの試合のような結果と違い,多くの内容は的中した場合だけ思い出し,外れた場合は忘れてしまうことが多いのです。特に悪い内容のほうが的中したと判断する傾向が高いこともわかっています。逆に考えると占いの的中とは,いかに出来事を占いと結びつけて思い出すかがカギを握っているといえるかもしれません。

文献

松井 豊(2007).不思議現象の流行 占いが「当たる」わけ 松井 豊・上瀬由美子(共著)心理学入門コース5 社会と人間関係の心理学 岩波書店 pp.15-32.
村上幸史(2005).占いの予言が「的中する」とき 社会心理学研究, 21, 133-146.

むらかみ こうし
神戸山手大学人文学部特任准教授。
専門は,社会心理学。

心理学ワールド第38号掲載
(2007年7月15日刊行)